人生には意味など無い、と長年思っていた私がなぜ意味があると思うようになって行ったかというと、それは仏教です。
45歳の時に仏教に出会って大変驚いたのです。どういうふうに驚いたかというと、仏教ってこんなことを言っているのかという驚きでした。
それまでの私が考えていた仏教とはまるで異なるものでした。それまでは仏教について知っていることと言ったら、たとえば「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」とかの学校で習ったことばであり、どんなに栄えていたものもやがて滅びてしまうはかない存在なのだ、人生もはかないものなのだ、とそういうことを言っているのだと思っていました。
またテレビドラマか何かでお坊さんが出て来て「色即是空」とつぶやいたのを聞いて、情欲の世界も空しくはかないものだ、ぐらいに解釈していました。
またあの世という世界があっていづれそこに行く、死は決して終わりではないと仏教が言っていることも知っていました。しかし私はそれまで全くの無神論者でしたからとうてい信じることはできませんでした。神とかあの世というのは人間が考え出したもの、とかなりの人が言っていましたが私も同じ考えでした。
ところが実際の仏教は「諸行無常」にしても「色即是空」にしても儚いとか空しいという情緒的なことを言っているのではなく、理論的なことを示しているのですよね。それがわかって仏教はこんなことを言っていたのかとびっくりしたのです。
45歳の時に初めて仏教に出会ったと言いましたが具体的には「般若心経」という経典の解説書です。後でわかったのですが経典の中でも一番短いものでまた最も有名な経典のようです。どのように解釈しどのように驚いたのかは次回に書いてみます。