それではもうひとつ、別のカニの話をしてみましょう。
それから一年ぐらいたってからでしょうか、近くに海の資料館ができて見学に行った時のことです。あるコーナーでその近辺の海の映像を繰り返し放映していました。
その中のあるなぎさの場面ですが、波がサーッと砂浜に上がって行っては引いて行きます。その合間をぬってですね。何というカニか名前は知りませんが、大勢のカニが一斉に砂浜のあちこちにひょいと現れすぐに引っ込むのです。
砂浜の中に潜っていて、ある時一斉に何かを持ち上げるかのように飛び出してきてすぐ消える様子は大変ひょうきんな感じで思わず笑ってしまうような光景です。そしてしばらくしてまた同じ行為を繰り返します。まるで心がつながっているみたいにピタリと揃っています。
この時はなぜこのような行為をするのかが直にわかりました。地上に生まれてくる様々なたましいを持ち上げて支え、無事に着地するのを手伝ってやるというような意味だと思います。バレーボールの試合で女性ファンが声を揃えて「ソーレッ」と応援しますがそんな感じです。
あともうひとつ、子供をしかる時に海だけでなく川という場所も利用しました。川にも沢ガニという守護神がいます。
どうですか皆さん。祖先の人たちがカニを安産の守護神として祀ったこと、素晴らしいとは思いませんか。