kosame21のブログ 人生の目的

なぜ生まれなぜ死んでいくのかは決して永遠の謎ではありません。仏教はそれを説明しています。その具体的な説明を第一回「人生の目的」(2021.9.07)から第四十三回「新しい時代に向けて」までに書きました。どうぞ読んでみてください。

イスカリオテのユダ

銀貨三十枚でイエス・キリストユダヤ人たちに売り渡した者として、極悪人のように言われているあのユダは本当に極悪人だったのだろうか?

イエス・キリストは、ユダを、将来必ず自分を売り渡す人間として、悪人と知っていて、十二使徒の一人に選んだのだろうか? 悪人と知っていて使徒にするというのはどうも不自然な気がします。それとも選んだ時点では裏切りは予想外のことだったのか? これはキリストの能力、過去や未来を知る力を考えてもおかしいし、キリストは初めから十字架を決めていたように思えるので、予想外ではなく、予定の選びであると思われます。

以上のことから私はある仮説を思いつきました。ユダは売り渡したが悪意は全くなかったというものです。彼は弟子たち一行の会計係をしていたのですよね。福音書には書いてないが次のようなことがあったのではないか?

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もうじき過ぎ越しの祭りになる頃のある晩、ユダはイエスが一人でいるところに行って次のようなことを言った。「師よ、手持ちのお金が今わずかしかありません。何とかならないものでしょうか?」 イエスが言った。「おおそうだつたのか。。。 ところでユダよ、祭司長たちのところに行って、この私を必ず引き渡す、自分は引き渡せる、と言ったら彼らはどうするだろうか。」

ユダは驚いて考えた。『なんだつて、引き渡すだって! 彼らは師の命を狙っているのに。それは金は払うだろうがそんな危ないことをやってはだめだろう。。。待てよ、、ひょっとしたらまた何か大きなわざをやるのだろうか? 決定的なとてつもない技をやって、彼らを地に伏せさせてしまうのだろうか? そういうことが確かにできる方だ、この方は。』

そこでユダは聞いた。「師よ、その後何が起きるのですか?」 するとイエスはにっこり笑って言った。「ユダよ、その時が来たのだ。天の父の輝かしい栄光が示される時が来たのだ。」『おおっ、やっぱりっ!』ユダは胸が張り裂けるような想いで心の中で叫んだ。そして続けて聞いた。「師よ、それはいつ行われるのですか、今からですか?」イエスは答えた。「もう少し待ちなさい。その時が来ればすぐにわかる。今は彼らに話を持ちかけるところまでにしておきなさい。」

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以上のようなやり取りがあったのではないか、というのが私の想像するところです。もしあったとするとユダの行為が不自然ではなく、うなずけることが多いのではないでしょうか。引き渡す時にイエスに接吻したが、尊敬と嬉々の想いでしたのではないか?

後で絶望して銀貨を神殿に投げ込み自殺したのもうなずけます。引き渡したあとは自分の想像していたこととはまるで違うので「おいおい、嘘だろっ、何かの間違いだ!」「えーっ? 何だよこれは。」。。。「自分は何てことをしてしまったんだ!」という感じで絶望的な心境に至ったものと思われます。

あと最後の晩餐の席でイエスがユダに「しようとしていることを、今すぐ、しなさい」と言いますが、ユダはすぐ「あのことだ」とわかり実現すべく行動したのです。ただ私の仮説では晩餐の席での「あなたがたのうちの一人が私を裏切ろうとしている」などのことばともうひとつぴったりしないようです。でもユダが最初から裏切ろうと思っていて「先生、まさか私のことでは」と言うのは厚かまし過ぎる感じがします。それより、ユダが誤解していた、というほうがまだ理解できると思われます。

 

「生きる意味」の解説は第一話「人生の目的」から第四三話「新しい時代に向けて」までで書きました。どうぞ読んでみてください。

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